CASE ご相談事例

Kさん (女性・40代前半・東北在住・専業主婦)

ご相談に至った経緯

相談者はSNSなどを利用しておらず、15歳(中学3年生)の息子と会社員の旦那と日々幸せな生活を送っていた女性でした。

ある日、中学校の保護者会で仲良くなったいわゆるママ友から「ねぇちょっとこれヤバいんじゃないの!?」と1通のLINEが届き、そこに掲載されていたURLを開くと、息子が出ている動画がアップロードされたとあるTwitterの投稿(ツイート)が目に飛び込んできました。

内容は、中学校の近くの公園で息子が友達とふざけてタバコを吸い、ビールの空き缶3つを傍らに置いている様子が収められたものでした。
ハッシュタグとして、息子の本名、友人と思われる子ら3名の本名、中学校の名称、地域の名称などが記載されていました。

SNSのことがよくわからないKさんは、すぐにインターネットでいろいろと検索をし、当事務所に電話をかけ、どうすればいいのかの対策の相談をすることにしました。

解決までの流れ

Kさんは当事務所から離れた東北地方に在住の方でしたので、オンラインミーティングアプリ「zoom」を利用して、当事務所の弁護士と法律相談を行いました。
自宅からスマートフォン、パソコンを利用して相談することができ、操作も簡単なため、Kさんの希望もあり、相談予約の電話の2時間後には弁護士との相談を開始することができました。

息子も同席しましたが、旦那さんは仕事で夜遅くの帰宅となるとのことでしたので、息子が相談の内容をメモにとり、Kさんが話を進めることに。
息子に話を聞くと「タバコはふざけて手に持っていただけで、お父さんのを持ち出した。動画にも吸う様子までは写っていない。ビールの空き缶は近くのコンビニのごみ箱から拾ってきたもの。」とのことでした。
当事務所の弁護士がなぜそんなことをしたのかを尋ねると「ちょっとカッコつけたかった。ヤンキーっぽく振る舞って、その様子をTiktokに動画でアップロードすると、クラスメイトや友人からヒーロー扱いされて、偉くなった気分になれるから。」とのこと。
Kさん曰く、息子はスポーツ推薦で高校の入学も決定しており、この動画が高校関係者や中学校の関係者に知られてしまうと、推薦が取り消されてしまうかもしれない。息子は本当は真面目な子で、学校の成績も優秀。本当に馬鹿なことをしたのは本人が一番よくわかっており、家庭でも指導をしたうえで十分に反省しているので、なんとか将来を守ってあげたい。とのことでした。

さらに詳細を確認すると、Twitterにアップロードされた動画は、一緒に公園にいた息子の友人がTiktokにアップロードした動画が元となっており、それをスマートフォンの画面録画機能により撮影した何者かがTwitterに転載したのではないかと想定されました。

動画を転載したツイートのハッシュタグには、先ほどの息子の本名等の情報のほかに、「未成年喫煙」「未成年飲酒」などの文字が入っており、放置すると中学校、高校関係者に見つかるのは時間の問題だと考え、当事務所の弁護士が速やかに該当ツイートの削除請求及び今後の再発防止のための発信者情報開示請求を行うこととしました。

相談の翌日の午前中に旦那さんが仕事を有給で休み、再度当事務所の弁護士、旦那さん及びKさんの3人で「zoom」を利用して面談を行い、息子が未成年であったため、旦那さんとKさんが依頼者となって弁護士と委任契約を締結しました。

裁判所の管轄が、削除請求の場合は「削除を求める人の住所の近くにある裁判所」となり、発信者情報開示請求の場合は東京地方裁判所となるため、東北地方のとある地方裁判所と東京地方裁判所の2か所・2つの手続に分けて仮処分手続を行うことになりました。

結果・解決ポイント

それぞれ名誉権侵害(名誉毀損)、プライバシー権侵害を理由として裁判所に削除・発信者情報開示の仮処分を申し立て、削除については申立てから約1か月で該当ツイートが削除され、開示については約1か月半でIPアドレスの開示がなされました。
なんとか中学校や高校からKさん家族の元に連絡がくることもなく、息子はこの春から無事に高校に進学することができました。

開示請求については、Kさんの「おそらく転載をしたのは息子の友達や知り合いだとは思います。削除は出来ましたし、相手も動画が削除されたことからもしかしたら裏で私たちが動いていることを察し、反省してくれているかもしれません。息子にとって、開示の結果知り合いとかが出てくるとショックかもしれないので、このままにしたいと思います。」という希望により、訴訟や意見照会書の送付の手続は行わないことになりました。

今回は、息子にとって人生のかかった場面でのご依頼でした。
もしかしたら放置していれば弁護士費用をかけずに問題が解決するかもしれない、との思いを抱かれている相談者の方もたくさんいらっしゃいますが、取り返しのつかないことになる前に、少なくとも削除だけでも行ったほうがいいという場面が非常に多いです。
特に、SNSでの拡散は非常に早く、誰かの不幸を喜ぶ人々が少なからず存在する世の中ですから、自分の身は自分で守り、必要な法的措置をとるべきです。

同じようなトラブルでお悩みの方は、一刻も早く弁護士に相談をおすすめいたします。

担当弁護士

弁護士 藤本 大和

SNS上のインフルエンサー、イラストレーター、YouTuberに対する誹謗中傷を中心として、特に発信者情報開示請求に注力している。
インフルエンサーや芸能の法的問題に対する様々な知見を有することから、特にSNS上で一定の知名度を得ているクライアントに対して、手広く法的サポートを提供している。

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