CASE ご相談事例

Aさん (男性・20代前半・東京在住・個人事業主)

ご相談に至った経緯

都内で個人事業主として稼働するAさんは、以前に勤務していた職場で上司のパワハラを受けやむを得ず退職するに至りました。

Aさんは、パワハラについては飲み込むこととしましたが、その職場が公開している求人情報の給与、勤務地、勤務時間、残業見込み時間などの多くの項目が虚偽であふれていることを許せないと考え、Twitterでこれらの虚偽の事実について公開することとしました。
その公開したツイートは多くの反響を呼び、約500件のリツイートを受け、前の職場に対して多くの非難が寄せられていました。

ところが、Aさんがそのツイートを公開した日から約3か月が経過したある日、Aさんが利用しているスマートフォンの通信会社(プロバイダ)からAさんのもとに、Aさんのツイートが前職場に対する名誉毀損だとして「発信者情報開示請求書」と「意見照会書」が郵送で届けられました。

これを見たAさんは驚くとともに、自らのしたことが本当に発信者情報開示請求を受けて然るべきことなのか、そうじゃないとしてどのように対応するのがいいのかがわからず、当事務所に相談に来ることとしました。

解決までの流れ

Aさんのもとに届けられた発信者情報開示請求書には、2週間の期限内に「回答書」を作成してプロバイダまで返送するようにと記載がありましたが、法律的なことを論理立てて記載し、発信者情報開示を防ぐためには、知識のない一般の方だと2週間じゃ到底時間が足りません。
そのため、当事務所にて回答書の作成のご依頼を受け、過去の裁判例等を引用しながら、Aさんのツイートが公益に資するものであること、公益を図る目的で行ったものであること、真実であることすなわち名誉毀損が成立しないということについて証拠を集めることとなりました。

まず、Aさんのツイートが対象としていた前の職場の求人票のコピー、実際の給与明細(個人を特定しうる情報、数字はマスキングを施しました。)、勤務地に関する資料、タイムカードの一部などを集めることができ、これらをもとに、求人票と実際の勤務条件が異なるということを回答書にまとめ、Aさんのツイートが真実であることを説明しました。
そのうえで、Aさんのツイートにおいては、決して前の職場を誹謗中傷するのではなく、求職者に向けて注意喚起を図る文章が記載されていたものであることに着目し、求職者に適切な情報を与えることを目的としたものであるとして、公益性、公益目的を主張しました。

当事務所弁護士がこれらの回答書、証拠資料をまとめ、プロバイダに対して弁護士名で送付をし、発信者情報開示請求に任意で応じることはないとして、プロバイダが発信者情報開示請求訴訟を依頼する弁護士に共有するように求めました。

すると、プロバイダの弁護士がこれらの資料を利用して応訴してくれ、プロバイダ側の勝訴判決が出されたために、Aさんの発信者情報が開示されることはなく事件は解決となりました。

結果・解決ポイント

発信者情報開示は、なんでもかんでも気に入らない投稿に対して行うことができるというものではありません。
あくまで、名誉毀損や侮辱、肖像権侵害、営業妨害、プライバシー権侵害などの、法律上の違法事由が存在することにより認められることとなるものです。
そのため、発信者情報開示に関する意見照会書が届いたとしても、適切な反論をすることにより、自分の投稿が違法でないということを主張、立証すれば、発信者情報開示を防ぐことができる場合があります。

意見照会書についてくる回答書については、プロバイダ側の代理人弁護士はこれを参考にしなければならないとされています。
実際にも、背景事情をプロバイダ側の代理人弁護士は知りようがないため、適切に戦うための資料や情報を、投稿者の側から適宜整理したうえで提供してあげる必要があります。

発信者情報開示請求をすることと、それを防ぐことは表裏一体の関係にあります。
意見照会書がプロバイダから届けられた場合でも、諦めることなく、発信者情報開示請求をはじめとするインターネット関連の案件に精通した弁護士に相談し、対応あるいは回答書の作成を依頼することで、また平穏な日々を取り戻せる可能性があります。

当事務所においても、日々インターネット上の誹謗中傷問題について研究を重ね、様々な経験を蓄積しておりますので、意見照会書に対する回答書の作成等、お気軽にお問い合わせください。

担当弁護士

弁護士 藤本 大和

SNS上のインフルエンサー、イラストレーター、YouTuberに対する誹謗中傷を中心として、特に発信者情報開示請求に注力している。
インフルエンサーや芸能の法的問題に対する様々な知見を有することから、特にSNS上で一定の知名度を得ているクライアントに対して、手広く法的サポートを提供している。

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