CASE ご相談事例

Rさん (男性・20代・会社員)

ご相談に至った経緯

学生時代から絵を得意としていた相談者は、会社員として働く傍ら、趣味でイラストを制作していました。Twitterでオリジナルのイラストを公開したり、イラストの有償依頼を受け付けたりとSNS上で精力的に創作活動を行っていたところ、フォロワーの1人から「相談者のイラストが無断転載されている」との報告が入ったそうです。

この事実を知った相談者は、このままでは自身の創作活動に支障をきたす恐れがあると感じ、当事務所にご相談に来られました。

解決までの流れ

当該アカウントには、相談者の著作物以外にも本人もしくは他の制作者により作成されたと思われるイラストが多数掲載されており、アカウント自体を削除するのは困難な状況でした。加えて、投稿数も極めて多く、違法性のある投稿すべてを削除請求するのは現実的ではなかったため、まずは再発防止を最優先とし、発信者情報開示請求を行うことにしました。

仮処分申立ての時点で盗用の対象となっていたイラストのほとんどは、相談者が趣味としてアップロードしていた無償のものです。こうした状況下において損害賠償請求を見据えた場合、「著作権」よりも「著作者人格権」の侵害を主張したが優位に働く可能性が高いと判断し、著作者人格権侵害を理由とする発信者情報開示請求を行うこととしました。

ところが、発信者情報開示請求に関する委任契約を相談者と締結した1時間後に、当該アカウントが削除されてしまうという事態に。Twitterの場合、削除してから30日が経過してしまうとアカウント情報が完全に削除されてしまうため、早急な対応を求められましたが、依頼を受けた翌日に仮処分の申し立てを行い、約1か月間でなんとか仮処分決定を得られたため、無事にTwitterから当該アカウントに関するIPアドレス等の開示を受けることができました。その後、東京地方裁判所にて発信者情報開示請求の訴訟を提起。訴訟提起から半年も経たずにこちらの請求を認める判決が出され、経由プロバイダより発信者情報の開示を受けることとなりました。

こうして判明した発信者は、相談者も全く知らない20代の男性でした。弁護士が連絡をとったところ、同居している家族にはまだ知られておらず、穏便に解決させてほしいとの申し入れがあったため、裁判外で和解とすることとし、無事解決に至りました。

結果・解決ポイント

今回の相談者は著作権についての造詣が深く、訴訟対象となったTwitterアカウントが著作権法に違反するものであろうことをスムーズに理解していただけました。また、当事務所の弁護士から発信者情報開示請求に関する説明を行った際も「自分以外のイラストも盗用されているようなので、さらなる被害の拡大を防ぎたい」とおっしゃっていただき、前向きに発信者情報開示請求へ臨んでいただけたのも解決に至った大きなポイントです。

ただ、SNSの場合は匿名掲示板等と異なり、アカウントを自由に削除することができるため、本事例のように必ずしも発信者情報開示請求が成功するとは限りません。

今回は、当該アカウントの削除後すぐに仮処分の申し立てを行い、比較的スムーズに手続きを進められたので、発信者のIPアドレス等の情報を確保することができましたが、さまざまな事情により間に合わないケースも多々存在します。そのため、自らの権利が誰かに侵害されていると判明した場合は、早急に弁護士に相談することが重要です。

また、サイトやSNSによっては、仮処分申立ての書類が運営元に届く前にアカウントが削除されてしまうと、当該データを引き出せない場合があります。そのまま放置してしまうと、法律上の権利(名誉権、プライバシー権、著作権等)を明らかに侵害されているにもかかわらず、泣き寝入りせざるを得ないという状況にもなりかねないため、何か心当たりがあれば、無料相談等を利用して一度弁護士に相談してみてください。

なお、当事務所でも、インターネット上での誹謗中傷やプライバシー権侵害、著作権侵害等を受けた場合の法律相談を初回無料で受け付けておりますので、何か気になることがあれば、お気軽にお問合せください。

担当弁護士

弁護士 藤本 大和

SNS上のインフルエンサー、イラストレーター、YouTuberに対する誹謗中傷を中心として、特に発信者情報開示請求に注力している。
インフルエンサーや芸能の法的問題に対する様々な知見を有することから、特にSNS上で一定の知名度を得ているクライアントに対して、手広く法的サポートを提供している。

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